身に着けるもの全て、美しきフェムテック!
女性をやっていくのは大変だけれど、
素敵な 味方が増えている




●ようやく日の目を浴びた
女性であることの辛さや面倒くささ


女性って、こんなに大変だったんだ……女性である自分が、今改めて、そういうふうに驚かされている。言うまでもなく、フェムテックという概念が生まれ、女性を守るテクノロジーと言うカテゴリーが生まれてみて、初めて女性であることの辛さや面倒くささがはっきりと浮き彫りになったからである。

逆に言えば、今まで多くのことがフタをされてきた。例えばだけれど、過去を振り返れば、それこそ生理で体育の授業を休むと、興味津々の男子ばかりではない、女子にまで白い目で見られて、いたたまれない気持ちになったりしたこと、きっと経験があるはずなのだ。
それは“1番多い日”だったりして、生理痛ばかりではない、モレてしまうのが怖くて体操どころではなかったのに。でもそういうことへの理解が全くなかった時代があったのを、今改めて思い出している。逆に言えばそれが当たり前になっていたから、どんな苦悩も女性に課せられた運命なのだと思わされてきた。
でも、そういう問題さえ、ようやく大声で言えるようになったのだ。どこの吸水ショーツがいいか、 月経カップはありかなしか。つい最近、カフェで40代位の女性たちが膣のエイジングの話を、周囲を気にするでもなく普通に話していて、とても感慨深かった。あぁそういう時代になったのだと。


●フェムテックとは、“自分にしかわからない心地よさ”を得るもの

そもそも「フェムテック」という言葉が生まれたのは、ほんの10年前、2012年に、ドイツの月経管理アプリを開発した女性起業家が、この言葉の産みの親であったと言われる。
もちろんそれまでだって、尿漏れを意識した吸水ショーツは存在したし、布製のナプキンも販売されている。じつは月経カップもナプキンなどよりずっと早く、1930年代にアメリカで生まれていたと言われるのだ。
フェムテックという市場が生まれて、それら隠れていた女性用品が次々日の目を浴びるようになったということ。実はそこに奇しくも、エコやSDGsの波が組み合わさって、「使い捨てナプキンは資源の無駄」と言った発想が重なって、月経カップ的なものが再注目されるようになったのだ。

もちろんエコに反するからと、無理に吸水ショーツや月経カップを使う必要はない。でもデリケートゾーンに直接使うものはなるべくナチュラルなものがいいと言うこだわりの人は、綿の布ナプキンを選べばいい。いろんな価値観の人がいるから、選択肢が増えただけのこと。自分が1番快適であるものを選択すれば良いだけなのだ。フェムテックとは、“自分にしかわからない心地よさ”を得るためものなのだから。


●圧迫はいやだけれど、くびれたい
それは永遠のジレンマ

そういう意味で、今こそ注目したいのがファッションのフェムテック。女性である窮屈さや生きづらさを忘れさせる機能を持ったものは皆フェムテックと考えて良いわけで、生理日だけじゃない、1ヵ月ずっと1年中ずっと体が快適であるためのインナーやアウターの追求こそ、本当の意味で女性を助けるアイテムと言えるのではないか。

そもそもが、下着や服で体を締め付けたくはないけれど、でもちゃんとスタイル良く見せたい。食い込みや圧迫感は嫌だけど、くびれるところはちゃんとくびれさせたい。これは女性に課せられた永遠のジレンマ。そこにしっかり手を差し伸べながらも、ちゃんと美しいアウターがあることは、私たち女性にとって本当に救い。

そういう思いやりと、きめ細かさは、日本のファッションだからこそできるものではないかと思う。以前、海外出張先で3足1組のパンストを買ったら、3足とも履いている途中で伝染した。外出前にその惨事、日本のパンストは本当に優秀と思い知ったもの。女性を楽にするという意味で、そういう機能性だってやはりフェムテックのうちなのである。

女性が身に付けるものは全て美しいフェムテックと考える、そういう新しいカテゴリーの機能美ウェアのブランドが生まれていることに注目してほしいのだ。


● 女性をストレスから解放するためなら
何でも備える“優しい服”があった

例えば、柔らかくヒップを整えるガードル内臓のパンツや、ソフトブラ内蔵に、姿勢を正すトップスをあくまで洗練されたアウターとして提案する、設計だけではない、抗菌、温熱、吸湿、速乾と言った機能性を惜しみなく加え、女性をストレスから解放するためなら何でも備え、デリケートな悩み、年齢による変化に丁寧に応えてくれる、その上で人を1番美しく見せるデザインを追い求める……女性の最大のジレンマにちゃんと答えていく。
思春期、成熟期、更年期、老年期、
女性は7年ごとに体の変化を迎えると言う説がある。これは1800年も前に書かれた「黄帝内経」という中国最古の医学書書かれていて、初潮は14歳くらい、閉経は49歳くらいで、なるほど7の倍数。この時代は寿命が短かったからその先の記述がないけれど、56歳、63歳、70歳と、まだまだ体は変化していく。今まで何も感じなかった素材がチクチク感じたり、そうやってどんどんストレスが増えていくのだとしたら、これからはもっとファッションにもフエムテック機能を求めるべき。
女性をやっていくのは大変だけど、そういう素敵な味方が増えているのも事実。ちょっとでも体に不快を感じることが増えたらたら、この話を思い出してほしい。身に付けるもの次第で、1日1日はどこまでも快適になるのだから。




齋藤  薫

 


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齋藤  薫 プロフィール
美容ジャーナリスト/エッセイスト

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『大人の女よ!もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。


 

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